ギュスターブ・モロー(Gustave Moreau 1826-1898)について
19世紀、印象派の人気が高まり、自然主義の絵画が広まる一方で、聖書や神話を題材に、幻想的・文学的な世界を描き続けた象徴主義を代表する画家。
パリで建築家を父に生まれ、1846年、エコール・デ・ボザール(官立美術学校)に入学。ロマン主義を代表するウジェーヌ・ドラクロワに影響を受ける。1857年、私費でローマに留学し古典を学んだ後、1864年、サロン(官展)に出品した《オイディプスとスフィンクス》は、官能的な女性の姿でスフィンクスを描き注目を集める。
さらに1878年、第3回パリ万博への作品展示により、モローの名声はさらに高まるが、1880年を最後にサロンへの出品を止め、自邸で静かに制作活動を続ける。1892年、エコール・デ・ボザールの教授となり、マティスやルオーを指導している。さらにクリムトやビアズリーらの世紀末の画家を始め、文学者にも多大な影響を与えた。その邸宅は遺言により、現在はギュスターヴ・モロー美術館として公開されている。