ジョルジュ・ルオー(Georges Rouault, 1871 - 1958)について
激しいタッチでキリスト教的主題やサーカス、娼婦を描いた絵画で知られるフランスの画家。パリの家具職人を父に生まれる。14歳からステンドグラス職人の徒弟として修行する一方で、夜は装飾美術学校に通う。19歳からは本格的に画家を目指し、エコール・デ・ボザール(官立美術学校)に入学し、ギュスターブ・モローに学ぶ。当初はレンブラントの影響を受けた画風だったが、30代以降は、その後の代表的な主題となる社会の底辺に生きる人々を、黒く太い輪郭線で色彩を区切って描く画風を確立する。画壇や画家のグループからは生涯距離を置いて活動したルオーの、その激しい絵画は周囲に受け入れられず、友人からも非難され、貧しい生活を余儀なくされるが、39歳での初個展、46歳で画商と専属契約を結ぶなど、徐々に評価を受けるようになり、晩年には各国で大規模な個展を開催。86歳で死去した際にはパリで国葬が執り行われる。
自身の作品に強いこだわりを持ち、画商に全作品の所有権を委譲する内容だった専属契約において未完成作品の扱いを巡って裁判となり、勝訴した後に自ら返却された作品を焼却したエピソードも知られる。