アルベール・マルケ(Albert Marquet 1875-1947)について
フォービズム、あるいは詩情溢れる風景を描いた作品で知られるフランスの画家。1875年、フランス南西部ボルドーに、鉄道員の父の子として生まれる。内気で病弱、勉強も不得意であったが、自然や港を眺め、絵を描く事が好きな子どもであった。15歳になった頃、母は父の反対を押し、本格的に絵を学ばせようと、実家の土地を売り払い、マルケを連れてパリに出る。国立装飾学校に入学したマルケは、生涯の友人となる6歳年上のアンリ・マティスと出会う。2人はさらにエコール・デ・ボザール(国立美術学校)へと進み、ギュスターブ・モローの下で学ぶ。1901年頃からアンデパンダン展やサロン・ドートンヌ展に、マティス、マンギャン、カモワンらと共に激しい色彩とタッチによる絵画を出品。特に1905年のサロン・ドートンヌ展では「フォーブ(野獣)」と呼ばれ注目を集める。だが、数年間のみのフォービズムの時代以降は、「マルケの灰(グリ)」とも呼ばれる、霧や煙などによる中間色のやわらかな色調を特色とした風景画を描くようになる。経済的な安定を得たマルケはヨーロッパ各国、アメリカ、北アフリカ、ソ連などを訪れ、各地で多くの作品を制作する。晩年にはフランス政府からの勲章授与を辞退するなど、マルケは名誉や金銭に関心が無く、その生涯は穏やかなものであった。